糖尿病レディース&ママさん外来のご案内

糖尿病レディース&ママさん外来が新たに開設されました (≧▽≦)

女性医師による診察と栄養士による丁寧な食事指導を行います。

同じ女性として、女性特有の月経や妊娠、更年期障害等によるホルモンの変動で日々血糖コントロールに悩む患者様の手助けができたらと思います。

血糖コントロールに悩まれている女性はもとより、妊娠希望や妊娠中の糖尿病の女性患者様、妊娠糖尿病の患者様が対象となります。

是非お気軽に来院くださいませ。

  • @:はじめに
  • A:妊娠と糖代謝異常の関係
  • B:妊婦さんの糖代謝異常 
  • A:妊娠糖尿病
    B:糖尿病合併妊娠
    C:妊娠中の明らかな糖尿病
  • C:高血糖によるお母さんの合併症
  • D:高血糖による赤ちゃんの合併症
  • E:安全な妊娠のための準備
  • F:妊娠中の血糖コントロール
  • G:治療
  • A:食事
    B:お薬
  • H:分娩中の血糖コントロール
  • I:分娩後の血糖管理
  • J:出産以降の血糖管理

@:はじめに

〜妊娠ご希望、もしくは妊娠中の糖尿病患者様、妊娠糖尿病と診断された患者様へ〜

現在、日本の糖尿病患者さんの数は720万人(2015年時点)と年々増加傾向にあります。
伴い、糖尿病合併妊婦さんも増加しています。

同時に晩婚化や生活習慣等の変化に伴い、妊娠期に糖代謝異常を有する患者さん(妊娠糖尿病患者さん)も増加しております。

妊娠中の高血糖は、母子の様々な合併症を引き起こす原因となり、厳格な血糖管理が必要ですが、一方で妊娠中の血糖コントロールは難しいともいわれています。

「妊娠と糖代謝異常」についてにまとめてみましたので、ぜひご覧ください。

A:妊娠と糖代謝異常の関係

妊娠は、ホルモンの作用等により、体内に大きな変化をもたらします。

なかでも重要なのは、妊娠そのものが糖代謝異常をきたしやすいということです。

妊娠週数が進み、胎盤が形成されていく過程で、ヒト胎盤性ラクトゲン(hPL)というホルモンや、妊娠の継続に働く黄体ホルモン(プロゲステロン)というホルモンが増加します。

これらのホルモンが増加することで、インスリンホルモンの抵抗性を引き起こし、お母さんの体内の血糖値が上昇しやすくなり、やがて糖代謝異常をきたすといわれています。

B:妊婦さんの糖代謝異常

大きく以下3種類に分類されます。

  • A:妊娠糖尿病
  • B:妊娠中の明らかな糖尿病
  • C:糖尿病合併妊娠

BA:妊娠糖尿病

妊娠中にはじめて発見、または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常
⇒診断には、75gブドウ糖負荷試験を用います。

診断基準

測定された血糖値が以下の基準をひとつでも満たした場合に、診断されます。

  • @ 空腹時血糖 ≧92mg/dl
  • A 1時間値 ≧180mg/dl
  • B 2時間値 ≧153mg/dl

*ブドウ糖を飲む前、飲んで1時間、2時間の計3回採血を行います。

BB:妊娠中の明らかな糖尿病

血液検査にて下記いずれかが該当した場合に診断されます。

  • @ 空腹時血糖値 ≧126mg/dl
  • A HbA1c ≧6.5%

BC:糖尿病合併妊娠

  • @ 妊娠前に既に診断された糖尿病
  • A 糖尿病網膜症があるもの

C:お母さんの合併症

妊娠中の糖代謝異常でお母さんに起こりうる合併症は、大きく以下2群に分類されます。

D:高血糖による赤ちゃんの合併症

以下一覧が報告されています。

  • 形態異常(先天奇形)
  • 巨大児
  • 肩甲難産による分娩時外傷
  • 胎児発育不全
  • 胎児機能異常、胎児死亡
  • 新生児低血糖
  • 新生児高ビリルビン血症
  • 新生児低カルシウム血症
  • 新生児呼吸窮迫症候群
  • 新生児多血症
  • 肥大型心筋症

E:安全な妊娠のための準備

妊娠早期の、お母さんの血糖コントロールの状態と赤ちゃんの奇形は関連していると言われています。

また妊娠に伴い、糖尿病合併症(網膜症・腎症)が悪化する可能性があります。

よって、糖尿病と診断された方、高血糖を健診等で診断された方、過去の妊娠で妊娠糖尿病と診断された方は、挙児を希望される際は、以下条件を満たすことが望ましいとされています。

血糖コントロール
HbA1c 7.0%未満(可能であれば6.2%未満)

網膜症
網膜症なし
福田分類の良性網膜症に安定

腎症
腎症第1期(腎症前期)
腎症第2期(早期腎症期)

⇒主に糖尿病合併妊婦さん

また妊娠した場合は、血糖値を下げる飲み薬は、お母さん・赤ちゃんに有害な影響をもたらす可能性があるため、内服ができません。

よって挙児希望がある時点で、@お薬をやめる A血糖値が高い場合は予めインスリン注射に変更する必要があります。

*高血圧や尿蛋白陽性の患者様で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンU受容体拮抗薬という血圧を下げるお薬を飲まれている場合は、赤ちゃんへの有害事象が報告されているため、こちらも予め中止をする必要があります。

F: 妊娠中の血糖コントロール

先ほどお示しした、お母さん・赤ちゃんの合併症を予防するには厳格な血糖コントロールが必要です。

日本では以下基準が推奨されています。

血糖値
・ 食前血糖 70-100 mg/dl
・ 食後2時間血糖 120 mg/dl未満

グリコアルブミン 15.8%未満
HbA1c 6.2%未満

*HbA1cは、過去1〜2か月の血糖値を反映するのに対して、グリコアルブミンは2週間〜1か月の血糖値の指標です。

治療には食事療法と薬物療法の2つがあります。

GA: 食事療法

お母さんは胎盤を通して赤ちゃんにエネルギー(ブドウ糖)を供給するため、血糖管理を念頭におきつつ、十分な栄養を摂取する必要があります。

妊娠中の推奨エネルギー摂取量=非妊時の標準体重×30kcal+付加カロリー*

  • *妊娠前期 50kcal 中期 250kcal 後期 450kcal
  • *付加カロリーをつけないこともあります。

【分食】

妊婦さんは、赤ちゃんに栄養を供給するため、空腹時血糖が低く、食後血糖が上昇しやすい傾向にあります。この対策として、分食を開始していただくことがあります。

【眠前乳製品】

妊婦さんは、早朝の血中や尿中にケトン体(エネルギーが不足している時に脂肪から分解されてできる物質)が出やすいため、低血糖防止も兼ねて予防的に乳製品を摂取していただくことがあります。

GB: 薬物療法

食事療法でも血糖値が改善しない場合は、インスリン注射を使用します。

*インスリン製剤は、一部妊娠中使用できない種類があるので注意が必要です!
以下使用できるインスリン製剤一覧です。

  • ヒトインスリン(ノボリンR・ヒューマリンR注製剤)
  • インスリンアスパルト(ノボラピッドR注製剤)
  • インスリンリスプロ(ヒューマログR注製剤)
  • インスリンデテミル(レべミルR注製剤)


H: 分娩中の血糖コントロール

分娩時のお母さんの高血糖は、胎児機能不全や新生児仮死、新生児低血糖等の赤ちゃんの合併症を起こしやすいと言われています。

よって、目標の血糖値を70〜120mg/dl前後を目標にインスリン単位数を調整します。

I: 分娩後の血糖管理

出産後は、胎盤が体外へ出ることで血糖値が上がる原因となるホルモンの分泌が途絶え、また母乳の分泌の増加により、血糖値は徐々にさがっていきます。

ともなって、妊娠中インスリンを使っている患者さんは、単位数の減量(大体妊娠前と同様の単位)をしたり、インスリン注射自体を中止します。

*妊娠糖尿病で妊娠中にインスリン注射を導入された患者様は、原則分娩後はインスリンを中止します!

J: 出産以降の血糖管理

妊娠前より既存の糖尿病がある方は、分娩後も定期的な外来通院が必要です。

妊娠糖尿病の方は、大多数が、出産後より血糖値は改善すると言われていますが、一方で将来、2型糖尿病になるリスクが高いともいわれています。

(妊娠前の体重、年齢、インスリン治療の有無、糖尿病の家族歴 等が特に関連があるといわれています)

⇒よって、まずは分娩後1〜3か月を目途に、75gブドウ糖負荷試験を行い、その後も半年〜1年毎に同試験を行って、糖代謝異常がないか定期的に評価することが大切です。